オリーブ

olive

オリーブとは、南ヨーロッパ、北アフリカ原産で地中海の沿岸に多くみられるモクセイ科の常緑樹です。オリーブの果実と核から生成されたオリーブ油が広く普及しています。オリーブはオリーブ油のほか、葉を活用したお茶や、化粧品、オリーブ染めなど多様な方面で活用されています。

オリーブとは

●基本情報
オリーブとは、南ヨーロッパ、北アフリカ原産で地中海の沿岸に多くみられるモクセイ科の常緑樹で、樹高2~10mにもなります。葉は革質の長楕円もしくは皮針形で、初夏には黄白色の花をつけます。果実は円形もしくは楕円形で、緑色から赤紫を経て紫黒色になります。乾燥に強い品種で、スペインやイタリアで広く栽培されています。
オリーブはオリーブ油のほか、葉を活用したお茶や、化粧品、オリーブ染めなど多様な方面で活用されています。
オリーブの油はコレステロール値を下げる効果があり、オリーブの葉は血糖やコレステロールの低下をもたらし、生活習慣病を予防するといわれています。また、葉には免疫力をアップさせ、感染症を予防する効果もあるとされています。

●オリーブの歴史
オリーブは歴史上、最も古いハーブだといわれており、紀元前3000年~2000年頃から栽培が始まったと考えられています。紀元前14~12世紀の間にシリアからトルコを経由し、ギリシャに広まったとされ、その後、15世紀の末、アメリカ大陸が発見されるとともに、南アメリカまで伝来しました。オリーブ油の歴史は古く、果実そのものを絞るだけでできることから、紀元前4000年頃にはオリーブ油が使用されていたことが、古代遺跡などからわかっています。
オリーブが普及した現在では、発祥の地から距離のある南アフリカやオーストラリア、中国、さらには日本においてもその栽培が行われるようになりました。
日本でオリーブ栽培が盛んな地域は香川県の小豆島です。明治41年に小豆島にオリーブが伝わると、当時の農商務省が輸入苗木を用いて、三重、鹿児島、香川の三県で栽培の試作が行われました。現在ではオリーブが香川県の県花、県木に指定されており、日照量が多く、オリーブの生育条件の良い小豆島では島の名産としてオリーブが人気を博しています。
オリーブは新約聖書では「生命の樹」と呼ばれ、旧約聖書ではノアの方舟に鳩がオリーブをくわえて帰ったという記載もあります。

●オリーブの栽培について
オリーブは、保水力と保肥力の優れた排水が十分にできる土地で、品質・量ともに安定した生育ができます。オリーブは日照量が多ければ多いほど生育が良好で、年間2000時間以上もの日照時間が必要だといわれています。
また、オリーブは比較的乾燥を好むといわれていますが、年間1000mm程度の降水量があれば、良質なオリーブを栽培することができるといわれています。

●オリーブに含まれる成分と性質
オリーブには、フラボノイドのルテオリンや苦み成分のオレウロペインなどが含まれています。また、オリーブの種子から絞って作るオリーブ油は、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸が豊富に含まれています。オレイン酸は酸化を受けにくく、長期保存や加熱にも強いことが特徴です。

オリーブの効果

●高血圧を予防する効果
オリーブに含まれるオレウロペインには、血圧を下げる効果があることが研究によりわかっています。オリーブ葉より精製したオレウロペインには、顕著な血管拡張効果があることがラットで確認され、ウサギの心臓の血流を増加させるという結果も得られています。
また、ヒトでの試験では、高血圧の患者にオリーブ葉抽出物を3ヵ月間服用させたところ、全ての患者で血圧が有意に降下したという結果が得られています。【1】【7】

●コレステロール値を下げる効果
オリーブの油にはオレイン酸が含まれ、悪玉(LDL)コレステロールを減らす効果があります。
オレイン酸は過剰なコレステロールを回収する善玉(HDL)コレステロールを増加させる効果があるといわれています。さらにオリーブの油に含まれるβ-フィトステロールには腸からの吸収を防ぐ効果があります。
飽和脂肪酸やコレステロールを多く含む動物性脂肪や乳製品を摂りすぎると、血中の悪玉(LDL)コレステロールが増加します。余分な悪玉(LDL)コレステロールが酸化すると、コレステロールが血管内壁に付着し、血管を防ぎ、結果、動脈硬化などの生活習慣病を引き起こします。
近年、オリーブの油が持つ悪玉(LDL)コレステロールを減らす働きから、アメリカのFDA(食品医薬品局)[※1]は、悪玉コレステロール値が高い人に対して、1日当たりスプーン2杯(25g)のオリーブ油の摂取が良いと報告しています。【2】

●心疾患を予防する効果
オリーブの油にはオレイン酸が含まれ、心筋梗塞を予防する効果があるといわれています。
国民1人当たりのオリーブ油の年間消費量が極めて多いギリシャのクレタ島で食生活と疾病に関しての調査が行われました。
その結果、オリーブ油を好んで摂取し、野菜や豆類、果物などの食物繊維を含む食品や、ヨーグルトなどの新鮮な乳製品を食べる一方、肉などの動物性脂肪の摂取が少ない「地中型食生活」が、動物性脂肪の摂取が多い食生活よりも心筋梗塞の再発率が圧倒的に低いということがわかりました。【4】

●血糖値を下げる効果
オリーブ葉は糖尿病の民間療法に用いられていました。ある研究では、オリーブ葉抽出物を10日間投与した後の空腹時血糖値を調べたところ、何も投与していないグループと比べて、オリーブ葉抽出物を投与したグループは高血糖の薬に匹敵するほどの血糖濃度の低下がみられました。【4】【7】

●抗菌・抗ウイルス効果
オリーブ葉の苦み成分であるオレウロペインはサルモネラ菌や黄色ブドウ球菌、ヘルペスウイルスやインフルエンザウイルスAなどの様々な病原菌、ウイルスに対して増殖阻害効果や増殖抑制効果を有しており、非常に広範囲にわたっての抗菌・抗ウイルス効果を示すことがわかっています。【5】

●美肌効果
オリーブの油は肌に塗ることで美肌効果があるといわれています。古代エジプトでは、オリーブ油を乾燥予防などに活用していました。
オリーブの油に含まれるオレイン酸は人間の皮脂や母乳に近い組成を持つといわれ、比較的アレルギーを起こしにくいとされています。オリーブの油は肌を保湿するだけでなく。炎症を抑える効果もあるといわれています。

[※1:FDAとは、Food and Drug Administrationの略で食品や医薬品、さらに化粧品、医療機器、動物薬、玩具など、消費者が通常の生活を行うに当たって接する機会のある製品について、その許可や違反品の取締りなどを専門的に行うアメリカ合衆国の政府機関のことです。]

オリーブは食事やサプリメントから摂取できます

こんな方におすすめ

○生活習慣病が気になる方
○美肌を目指したい方

オリーブの研究情報

【1】高血圧患者23名を対象に無作為化クロスオーバー試験において、治療と並行してオリーブ油を多く使う食事を6ヵ月摂取させたところ、血圧が低下し、中等症の患者の中には血圧降下剤の服用量が軽減したことから、オリーブは高血圧予防に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10737284

【2】オリーブに含有されるオレウロペインがLDLコレステロールの酸化反応を抑制し、末梢血管や心臓に関係する冠動脈の病気予防に効果があることがわかりました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7990657

【3】健常人の心筋梗塞のリスクを調査したところ、オリーブオイルを毎日54g摂取した人は、7g未満の人と比較して、心筋梗塞発症のリスクが軽減しました。オリーブに循環器系疾患予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11980820

【4】オリーブ葉は糖尿病の民間療法に用いられてきました。オリーブ葉は血糖値降下作用を有する可能性があることから、オリーブは糖尿病予防効果を持つことが確認されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1484890

【5】オリーブおよび機能性成分オレウロペオンは、サルモネラ菌、ビブリオ菌、黄色ブドウ球菌の増殖を阻害することから、オリーブは感染症予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10504039

【6】マウスにオリーブ抽出物を摂取させたところ、ショ糖経口負荷後の血糖値上昇が緩和されたことから、オリーブは糖尿病予防効果を持つと考えられています。
https://jglobal.jst.go.jp/en/detail?JGLOBAL_ID=200902265662596847&rel=0

【7】高血圧患者に対しオリーブ葉抽出物を用いた試験を行った結果、患者30名に対し、オリーブ葉抽出物を1日あたり1600mgの量で3ヵ月摂取させたところ、血圧上昇が改善されたことから、オリーブは高血圧予防効果を持つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8786521

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参考文献

・日経ヘルス 編 サプリメント大事典 日経BP社

・CMPジャパン「ハーブ」プロジェクトチーム 編 薬用ハーブの機能性研究 健康産業新聞社

・松生 恒夫 新オリーブオイル健康法 講談社プラスアルファ新書

・独立行政法人国立栄養研究所 “「健康食品」の安全性・有効性情報「健康食品」の素材情報データベース”

・Ferrara LA, Raimondi AS, d’Episcopo L, Guida L, Dello Russo A, Marotta T. (2000) “Olive oil and reduced need for antihypertensive medications.” Arch Intern Med. 2000 Mar 27;160(6):837-42.

・Visioli F, Galli C.(1994) “Oleuropein protects low density lipoprotein from oxidation.” Life Sci. 1994;55(24):1965-71.

・Fernández-Jarne E, Martínez-Losa E, Prado-Santamaría M, Brugarolas-Brufau C, Serrano-Martínez M, Martínez-González MA. (2002) “Risk of first non-fatal myocardial infarction negatively associated with olive oil consumption: a case-control study in Spain.” Int J Epidemiol. 2002 Apr;31(2):474-80.

・Gonzalez M, Zarzuelo A, Gamez MJ, Utrilla MP, Jimenez J, Osuna I. (1992) “Hypoglycemic activity of oliveleaf.” Planta Med. 1992 Dec;58(6):513-5

・Bisignano G, Tomaino A, Lo Cascio R, Crisafi G, Uccella N, Saija A. (1999) “On the in-vitro antimicrobial activity of oleuropein and hydroxytyrosol.” J Pharm Pharmacol. 1999 Aug;51(8):971-4.
・住吉真帆、木村善行 “オリーブ葉の糖・

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