玄米

brown rice

玄米は、米から籾殻を取り除いたものであり、白米よりも栄養価が高いとされています。生活習慣病の予防や便秘の解消に役立つとして人気の食材です。

玄米とは

●玄米とは
玄米は穀類の一種であり、米の種子部分である籾(もみ)から籾殻を取り除いた状態を表します。
玄米は、外側から順に表皮・果皮・種皮によって覆われています。内部は胚乳と呼ばれ、玄米の約92%を占めています。また、残りの5~6%は糠(ぬか)[※1]層、2~3%は胚芽[※2]が占めています。
玄米からさらに糠層を取り除いたものが胚芽米、糠層と胚芽を取り除いたものが精白米です。
近年では、栄養価の高い胚芽の部分を残した胚芽玄米や、玄米を発芽させた発芽玄米なども流通しています。
●玄米の歴史
玄米のもととなる米の原産地は中国、インド、インドシナなど諸説あり、紀元前3500年頃にはすでに栽培が始まっていたといわれています。
日本へは縄文時代後期に中国・朝鮮半島から伝えられたという説が有力とされています。
●玄米に含まれる成分と性質
米は精製度が低い程栄養価が高いといわれているため、玄米には白米よりもビタミン、ミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。
中でも、玄米にはビタミンB群、ビタミンE、鉄、カルシウムなどが特に多く含まれるといわれています。
玄米は消化されにくいという特徴があり、よく噛んで食べることが重要となります。胃が弱い方は注意が必要です。

[※1:糠(ぬか)とは、穀物を精白した際に出る果皮、種皮、胚芽などの部分のことです。]
[※2:胚芽とは、植物の種子の中にあって、生長すると芽になる部分のことです。]

玄米の効果

●生活習慣病の予防・改善効果
玄米に含まれているγ(ガンマ)‐オリザノールには、肥満や糖尿病を予防する効果があります。
メタボリックシンドロームの人を対象に、玄米を食べるグループと白米を食べるグループとでどのような違いがあるかを研究したところ、玄米を食べるグループは、体重の減量、血糖値[※3]の低下、血管年齢の改善などの効果があったという結果が得られました。
また、γ(ガンマ)‐オリザノールはコレステロールの吸収を抑える働きも併せ持っているため、動脈硬化などの生活習慣病の予防にも効果があります。
さらに、玄米に含まれるGABAには、コレステロールと中性脂肪の増加を抑制する働きがあり、動脈硬化や糖尿病の予防にも期待されています。【1】【2】【3】
●老化を防ぐ効果
玄米に含まれるビタミンEは、強力な抗酸化作用[※4]があります。この細胞の酸化を防ぐ働きによって「若返りのビタミン」と呼ばれており、老化を遅らせる効果が期待されています。【2】【4】
●便秘を解消する効果
玄米には食物繊維が豊富に含まれているため、便秘の解消にも効果があるといわれています。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。玄米には水に溶けない不溶性食物繊維が豊富に含まれており、腸のぜん動運動[※5]を活発にし、腸内の不要物を排出する効果が期待できます。
[※3:血糖値とは、血液中にブドウ糖がどれくらいあるのかを示すものです。ブドウ糖が血液中にあふれてしまうと血糖値が高くなります。]
[※4:抗酸化作用とは、たんぱく質や脂質、DNAなどが酸素によって酸化されるのを防ぐ作用です。]
[※5:ぜん動運動とは、腸に入ってきた食べ物を排泄するために、内容物を移動させる腸の運動です。]

玄米はこんな方におすすめ

○生活習慣病を予防したい方
○いつまでも若々しくいたい方
○便秘でお悩みの方

玄米の研究情報

【1】ラットを対象に、炭水化物1.5g 相当の白米、玄米を摂取させたところ、白米に比べて玄米摂取時では血中インスリン濃度ならびに血糖値に改善が見られたことから、玄米は糖尿病予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16079511

【2】高脂肪食ならびに薬物誘導糖尿病ラットを対象に、白米、玄米、発芽玄米を摂取させたところ、玄米、発芽玄米を摂取した群では、糖尿病病変による腎臓抗酸化酵素、血清クレアチニン、肝臓酵素の状態が維持されました。玄米と発芽玄米にはSOD酵素にはたらきかける抗酸化作用を持つことから、Ⅱ型糖尿病に対する予防効果が期待されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23202932

【3】米国男性39,765名ならびに女性157,463名を対象に食生活と糖尿病リスクを調査したところ、玄米を摂取する人の糖尿病リスクは低下し、併せて全粒粉を摂取する人の糖尿病リスク提言にも役立つことから、玄米は糖尿病予防に役立つと考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20548009

【4】玄米ならびに発芽玄米にはフラボノイドやポリフェノール成分が豊富に含まれており、高い抗酸化力や金属キレート作用など、高い機能性が注目されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22328119

【5】マクロファージ細胞を対象に、発芽玄米を投与したところ、炎症関連物質NOやMAPKの活性化を緩和し、細胞内抗酸化酵素の状態が維持されたことから、玄米は抗炎症作用を有すると考えられています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20874228

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参考文献

・則岡孝子 あなたに必要な栄養成分と食べ物 河出書房新社

・本多京子 食の医学館 株式会社小学館

・五明紀春 食材健康大事典 時事通信社

・蔵敏則 食材図典 小学館

・五訂増補 日本食品成分表

・Seki T, Nagase R, Torimitsu M, Yanagi M, Ito Y, Kise M, Mizukuchi A, Fujimura N, Hayamizu K, Ariga T. 2005 “Insoluble fiber is a major constituent responsible for lowering the post-prandial blood glucose concentration in the pre-germinated brown rice.” Biol Pharm Bull. 2005 Aug;28(8): 1539-41.

・Imam MU, Musa SN, Azmi NH, Ismail M. 2012 “Effects of white rice, brown rice and germinated brown rice on antioxidant status of type 2 diabetic rats.” Int J Mol Sci. 2012 Oct 10;13(10): 12952-69.

・Sun Q, Spiegelman D, van Dam RM, Holmes MD, Malik VS, Willett WC, Hu FB. 2010 “White rice, brown rice, and risk of type 2 diabetes in US men and women.” Arch Intern Med. 2010 Jun 14;170(11): 961-9.

・Gujral HS, Sharma P, Bajaj R, Solah V. 2012 “Effects of incorporating germinated brown rice on the antioxidant properties of wheat flour chapatti.” Food Sci Technol Int. 2012 Feb;18(1): 47-54.

・Park HJ, Han ES, Park DK, Lee C, Lee KW. 2010 “An extract of Phellinus linteus grown on germinated brown rice inhibits inflammation markers in RAW264.7 macrophages by suppressing inflammatory cytokines, chemokines, and mediators and up-regulating antioxidant activity.” J Med Food. 2010 Dec;13(6): 1468-77.

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